【中小企業向け】 事業承継問題の相談先とそれぞれの違い

事業承継対策を考えるための相談相手はどういった人でしょうか?また相談相手を賢く選ぶポイントは何でしょうか?
相談相手として大切なことは、先代社長の想いを理解し、それを実現しようとしてくれる人であるかということです。それは事業承継を通じて、組織が成長し、後継者が引き継ぎやすくなる環境を作ることでもあります。
また、企業承継パートナーは、企業財務に強いことが必須ですが、それだけではありません。組織には、共通の価値観や社内慣習、組織文化などがあり、従業員のモチベーション向上や組織の一体感を高めるために重要です。このような目に見えない会社の資産についても深く理解することで、よりスムーズな事業承継が実現できます。

事業承継の相談先「財務コンサル」とは

財務コンサルとは、企業の「お金」を通じて、「キャッシュフローの最大化」を目指す戦略をご提案します。具体的には、クライアントに対して会計や財務の観点からアドバイスを行い、企業の成長や発展を支援する業務です。

しかし、単純な決算書の数字をなぞるだけでは、経営の課題は見えてきません。会社は人が営む組織です。財務コンサルの仕事は、経営者や役員と話し合うことで、数字の裏にある、会社の課題を見える化し、解決策を提示していきます。
相談先として財務コンサルを選ぶ際は、その人自身がこれまでどのような経験をしてきたか、が重要になると考えられます。

とくに事業承継を含む経営相談は、その会社の今後を支える重要な決定につながっていきます。身近な顧問の税理士や会計士に相談するだけでなく、新たに財務コンサルを入れることで、先入観のない視点から、経営を見直すことができるでしょう。

財務コンサルとM&A仲介の違い

元気なうちに会社を売却して、まとまったお金を手に入れ、充実した余生を送ろう、と考える経営者が増えています。そして、その方法として事業売却、つまりM&Aが行われるケースがあります。 ところがM&Aには、利益相反となる部分があるなど、手続き上、気を付けておきたいことがあります。
一方で、財務コンサルは依頼主である企業や経営者に対して、財務ソリューションを提供するのが仕事です。したがって、企業や経営者にとってベストな提案を行います。財務コンサルが出口戦略を考えるときには、M&Aを含めた複数の選択肢から、最善の方法を提案します。

財務コンサルと銀行の違い

財務コンサルは独立系のファームが多いため、ケースバイケースで最適なチームスクラムを組成します。事業承継の悩みが後継者探しなのか、節税対策なのかによって、解答は異なります。さらにそれぞれの企業の特徴によっても、最適解が変化します。ここが財務コンサルと銀行の大きな違いと言えます。
事業承継を考えている経営者には、現在取引している金融機関以外の相談先を作ることをお勧めします。銀行によって、事業承継対策に対するスタンスが微妙に違うことが分かると思います。重点を置いているのが、節税対策なのか、株式譲渡の法務面なのかなど、銀行の注目しているポイントが見えてきます。

財務コンサルと大手FASの違い

FASには金融サービスやM&A企業をバックにしている組織も多く、高度な専門知識やスキルを持つ、ファイナンシャルアドバイザーが在籍しています。FASは、M&A、財務アドバイザリー、評価、リスクマネジメント、コンサルティングなど、財務分野における多様なサービスを提供しています。そのため、企業に対して総合力のあるファイナンス戦略を提供できると言えます。
ただ、営業力や生産ノウハウ、立地戦略など経営上重要ではあるものの、数値化しにくいパラメーターを捨象してしまっているため、机上の計算は正しくても、ビジネスとして実装しにくい、ファイナンス戦略になる恐れがあります。

財務コンサルと投資ファンドの違い

投資ファンドは、購入した会社の市場価値を高めることを、目的としているので、本来の意味での事業承継には適していません。日本は証券市場への上場のハードルが高く、外形基準として、中小企業では上場が難しいため、投資ファンドにとって中小企業を購入し、価値を高めた後で売り逃げることは、難易度が高いと考えられます。

中小企業の認定支援機関とは

経済産業省の組織である中小企業庁は、「認定支援機関」という組織を全国に展開しています。たとえば、財務コンサルや地域の商工会議所、独立行政法人、金融機関などの専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある組織を、「認定支援機関」に指定しています。中小企業の長期的な経済成長・発展を促進することを目的としており、経営に関する専門知識を持ったアドバイザーやコンサルタントを抱え、経営改善や事業展開に向けた相談窓口となっています。

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